特殊車両の解説(コンバイン編)
このブログを投稿する頃は台風14号が九州を縦断、山陰を横断と西日本をなぞるように進行途中です。被害が少なく済んでいることを願うばかりです。追記・訂正:投稿時は台風14号は通過し、今度は15号が近づきそうですね。
さて、今回は特殊車両について触れてみます。
直接フォルクスワーゲンとは関係のない話題なので、興味を持っていただける方が読んでいただければ十分でございます。
冒頭、台風の話題と関係があって先週の振り替えの休日に急きょ運転することになったことで、今回のブログへとつながりました。
で、なんの車両かというと。
「コンバイン」なんです。
「コンバイン」。
岐阜平野部なら9月中旬から11月上旬にかけて郊外の農地で見かけるマシーンです。お米の収穫する機械のことです。どうでしょう?みなさんは、まじまじとコンバインを見たことありますか?特に都市部住まいのかただと、車の通りすがりになんとなく目にする季節感のある光景に過ぎないかもしれませんね。逆に私の家と同じように、自家用コンバインを持っている!当然、乗りこなしている!!って、かたもいらっしゃるはずです。
今シーズン、台風襲来で前倒しの収穫となりました。初夏の田植えは雨でも出来ますが、お米の収穫は穂が濡れていては収穫が出来ないのです。ましてや台風では稲穂が倒れ、水に浸ってはお米の品質にも影響が出ます。昔も今も「お天気(晴れ)」に人間が合わせて作業を優先させます。
今シーズンから新車です!!(型落ちですが。。。)
我家のコンバインは新車です!昨年、18年近く使用していた先代が収穫終了間際で致命的な故障が発生、そのまま引退となりました。直ぐに、新車がやってきたのがこの今のコンバイン。
コンバインってお高いのです。そもそも農業機械全体的にお高いのです。この新車で300万円切るくらい。フォルクスワーゲンのポロ、ベーシックグレードと同じくらいです。だから、我が家ではお隣さん(親戚)とシェアして使っています。
ポロなら通勤・お買い物、近所の移動に、遠方にだって行けます。燃料さえ入っていれば毎日使えますよね。しかし、コンバインは2軒がシェアして収穫時に使ってもよく言って7日間程度。一年のうちわずか一週間しか動かないマシーンなんです。300万円出してして稼働率悪すぎです。でも、稲刈り作業をわずか二人で(収穫役と、収穫したお米を運ぶ運搬役)作業できてしまうのはとても大きなアイテムです。
むかーし、むかし、手作業の時代の稲刈りといえば、親戚中はもちろん学校を休んでまして子供たちもが動員されたわけですから、人件費からすれば稼働率が悪くても大きな削減効果につながっているでしょうね。また後述しますが、作業の肉体疲労の大きな軽減はコンバインの電子制御化のおかげです。
マシーンの中ではスモールサイズ
我家のコンバインは、マシーンの中では小さいサイズ。「2条刈」。コンバインのサイズを表す単位に「なん条刈」と数字で表します。2、3、4、5、6、8条が一般的ですね。ちなみに6条のパワーモデル(高機能)になると1,000万円をかるーく超えていきますからね!
この2条の「条」は稲って、田んぼではきれいに列で並んで生えていますよね。田植えの時に田植え機が植えていく列がそのまま、稲刈りの際コンバインが刈り取る列になります。なので田植え機の大きさも「4条植」、「6条植」、「8条植」と表します。
意外とコンパクトサイズ
2条刈のコンバイン、サイズを確認しましょう。
〇全長:3m06cm
〇全幅:1m63cm
〇全高:1m84cm
フォルクスワーゲンの中では「UP!」が近いかなあってサイズ感ですが、それよりコンパクトですね。ただ、高さはミニバンに近いサイズです。
エンジンですが、
〇1,123cc、3気筒ディーゼルエンジン(18馬力)
コンバインのエンジンは昔からディーゼルエンジン。最高速度を目的としていないので、馬力は控え目。トルクをしっかり出して各駆動品を安定的に動かします。
駆動方式は、
〇キャタピラー
これがですね、素晴らしい走破性なんです。地面が不安定で相当の勾配でも、相当のぬかるみでもスイスイと進むし、進路変更もスムーズ。乗用車のタイヤでは得られない悪路走行。
〇走行速度は?
そんなキャタピラーのメリットを生かした悪路走行。走行速度はというとそんなに速くはなくて。。。
・刈取り作業走行時:3.2km/h
人間はやや速いウォーキング位。
・非作業走行時:6.1km/h
ジョギング位。
コンバインに乗って走らせると、けっこう速く感じますが、諸元表データからだとこんなもんなんですね。
簡単操作でらくちん作業
↑ コンバインの計器盤です。
とてもシンプルでしょ。乗用車と違って、こなす目的が決まっているので限られた情報を大きく表示しています。この辺は、ご高齢者様向けにモデル毎に改良が進んでいますね。
刈取り作業中に撮ったので、ずいぶんホコリやワラで汚れていますが、操作レバーが並びます。
◇写真の左上から、コンバインの「走行モード」切替レバー。刈取り作業時は「標準」に、走行のみなら「走行」に入れます。もちろん「走行」モードの方が速度が出ます。限られますが「畔ぎわ」モードにすると、「標準」よりスローになります。
◇真ん中がアクセル。一本のレバーで、前進、後進を操作できます。刈取り作業中、結構な頻度で前後進を繰り返す為です。変速は無いので無段階で速度調整が可能ですね。併せて、駐車ブレーキ解除も出来ちゃいます。このあたりが、モデルの進化ですね。素晴らしいです。
◇で、一番手前のレバー(真ん中から、左下のレバー)が、マシーンの先端で稲わらを刈り取る「刈取り機」と機械胴体の中で、お米(もみ)と、藁を分ける「脱穀機」の作動切替です。エンジンのエネルギーの多くをこれら動作に使うので、刈り取らない時、「走行」モードの時は脱穀機作動を「切」に入れて走行します。
最後に、写真右上の「うさぎ」と「かめ」マーク。
コンバインメーカーである「井関農機株式会社」。略して「ヰセキ」はこの表示を昔から採用しています。このメーカー独特の表現です。機種が異なりますが田植え機にも同じ表現がされていました。
見ての通り、分かりやすいですよね。これはエンジン自体のアクセルレバーです。「うさぎ」へ入れるほど、エンジン回転は上昇します。「かめ」さんはエンジン回転が下がります。
余談ですが、田植え作業を体験しに来たドイツ人のクリス君はこの表現をとても面白がっていました。
「ヌーア、ヤーパン。オリギナル!イテルザント」。
みたいなことを彼が言ったとか言ってないとか。
胴体の構造
コンバインの先端で刈り取られた「稲わら」。胴体では何が行われているのか?メーカーのホームページの写真を使って観てみましょう。
フタを開けてみると、大きなドラムが横たわっています。そうこれが「脱穀機」なんです。このドラムが高速で回転していて稲わらから「お米(もみ)」だけを分けるのです。手前のギザギザ(チェーンみたいな)に藁が挟まれて写真の左から右へ藁が運ばれます。先端に付いているもみ(お米)部分がこの高速回転するドラム部分に当たるので、次々と連続で脱穀されていく仕掛けになっているのです。
運転席から見た写真ですが、写真の左が脱穀機側。刈り取られた稲わらが次々と青色の矢印方向へ流れていきます。作動中に脱穀機側に手を突っ込もうなら、お手ては、さよならです。このマシーン結構危険な乗り物なんですよ~。ブログなんで音については触れませんが、刈取り作業中は相当近づかないと会話は出来ないくらいの作動音なんです。
オレンジの矢印は、センサーなんですね。コンバインの電子制御化はすさまじく、例えばこの二個のセンサーで脱穀機に入っていく穂の長さを自動調整するのに使っています。これによって、確実に脱穀出来る仕掛けです。昔は、自分で目視してレバー操作をしょっちゅう動かして調整していたんですが、今は一切必要なし。こんな感じで、負担軽減に電子制御が貢献しています。
脱穀後のお米はいったんタンクへそして、搬出
脱穀機で藁(ワラ)とモミ(お米)が分けられると、運転席背後にある大きなタンクへ貯めれます。タンクが一杯になると軽トラックの荷台に用意された大きな袋へお米を搬出します。このあたりも、今のコンバインには煙突状(パイプ)の装置が付いていて、この装置を「オーガ」とヰセキは読んでいます。で、搬出時にこのオーガを軽トラックに向け操作。あとはコンバインのタンクが空になるまで待ちます(この時間に小休憩)。
このあたりも30年程前は30kgほどの袋に小分けして、一袋づつ荷台まで運んでトラックに積み込みましたが、このオーガのおかげで、お米稲刈り作業は最低2人で出来てしまいます。昔、昔、親戚から小学生が学校を休んでまで総出でやっていた時代からすると、コンバイン一台300万円。人件費の大幅な削減と、疲労の大幅な軽減を加味すれば300万円、高くないかも。
「ホコリ」がスゴイ!
マシーンは電子制御のおかげで快適な操作。楽々運転が実現されています。
が、先ほども触れましたがコンバイン自体の作動音もすごいのですが、ホコリがすごいんです。
ブログなので音のすごさが伝えられないですが、ホコリもまた伝わらないですよね。ホコリ以外にも田んぼを住み家にしていたカエルなど昆虫たちがコンバイン通過にあわせて飛び回ります。
半日の作業ですが、全身ホコリにまみれ。いくら残暑が厳しくとも、とても半袖では作業できません。もう、はやく家に帰ってシャワー浴びたーーいって感じです。
ディーラーの涼しく、きれいなオフィスとは真逆の環境。でも、クルマとは全然違うコンバインの操作。大変だけど一年に数日だけ乗れる(操れる)嬉しさを内心持っています。
我が家、来年のメシ一年分!やるしかないのだー。
「台風」来るでぇねぇ~。ギリギリまで作業
雨が降っては、稲刈りは出来ません。ましてや今回は大型台風が接近中。辺りが薄暗くなるギリギリまで作業を進めます。お隣の田んぼも、急いで刈取り中。
西の空、すっかり日も沈み伊吹山と池田山が夕焼けの陰に映ります。
翌日の午前中で作業は終わり、やれやれです。
8月上旬から約一か月半、ほぼ休み無しで働き続けたメインの農作業。今シーズンもようやく終わりです。
今回はフォルクスワーゲンとは、ぜんぜーん関係のない話題でした。
ただウチにはですね、クルマ以外に「エンジン」で動くモノがたくさんあるんですよ~。
使用目的が変わるとマシーンの構造や形も変わりますが、エンジンも様々な用途に使われていることを伝えたかったなあって今回は稲刈りを通して伝えたっかたです。
次は、何を取り上げよっかなあ!
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。
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